月刊群雛2015年12月号レビュー

月刊群雛 (GunSu) 2015年 12月号 ? インディーズ作家を応援するマガジン ?

月刊群雛 (GunSu) 2015年 12月号 ? インディーズ作家を応援するマガジン ?

大変遅くなりましたが感想を。
初参加させて頂き、皆様の作品を読んで一層の研鑽に務めなければと感じた次第。
ざっくりとしたレビューとなりますがご容赦を。
他の号についても随時レビューを書いていく予定ですのでよろしくお願いします。
(著者敬称略)

セルフブランディングで大切にしていること【結城浩】(ゲストコラム)
 ペンネームではブログ、TwitterGoogle+と活用しているけど、「発信する」「認識、信頼してもらう」というところが自分に足りていないと痛感。
 その「信頼」を得るためには普段からの発信はもとより振る舞いも重要。
 長期化して「信頼」を得た人こそがこのインターネット社会におけるセルフブランディングを成し得る人なのだと思えた。

オルガニゼイション【波野發作】(連載最終回)
 ループの描写、〈リセットボタン〉、惑星国家、そしてラストの一文。
 一字一句に著者の想像力と創造力が詰まっているような感覚。
 終わりのない広がりがどこまでもあるような面白さ。
 この小説のアイデアを書き綴ったノートなどがもしあれば読んでみたい。

鼠の家【矢樹純】(読切)
 まるでドラマを観ているかのような人間模様が進んでいくかと思いきや、途中で驚かされた作品。
 ただただ「巧い」の一言でしか表現出来ないのがもどかしい。
 このような作りこまれた小説を書けるようになりたい。

6人の出張【米田淳一】(読切)
 鉄道への愛がものすごく込められた一作。
 普段何気なく使っている鉄道について詳細な知識を持ちあわせていない分、なるほどと勉強になる感覚を覚えた。
 登場人物の楽しそうな雰囲気が微笑ましく感じる魅力が詰まっている。

青い欄干【川瀬薫】(読切)
 ジャズ、というのはとある深夜ラジオの影響でほんの少し、それこそマイルス・デイヴィスジョン・コルトレーンの有名どころを、といった感じで聴いていて、作品の雰囲気がとても魅力的。
 「匂い」や「音」が文章から漂ってくるような、コーヒーを飲みつつジャズを流しながら読みたくなる一作。

夏のかけら【幸田玲】(連載第4回)
 「夏のかけら」というタイトルに引きこませられる文章。
 こうした描写は見習いたいところ。
 続きが気になる雰囲気も素敵で、センスの良さが感じられた。

Twitterでフォロワーを増やすには?【鷹野凌】(編集長コラム)
 タイムラインのカオス化、で感じた事を。
 Twitterも様々な外部サービスが増えて、ありとあらゆるbotが稼働している。
 確かに自動投稿は便利な面もあるが、個人的には好きではない。
 というのも、宣伝や自己紹介問わず、例え文面が同じであっても(多少は変えたほうが良いのだけど)「『その人』が『その時』」に書いたものが読みたいからだ。
 リアルタイム性が強いSNSであるのに、botに依存するのは勿体無い。加えて、Twitterを長く使っている人ほどtwittbotなどをミュートしている人が多いように感じる。
 そういうユーザーの存在を考えると宣伝は自らの手で、というのが望ましい。

一小路真美は興味がない【晴海まどか】(連載第1回)
 ツンデレ主人公の「女の子」感が素晴らしく、こういった可愛さも好み。  こういう学園モノの雰囲気や空気感は好きなので続きが気になる。
 少女漫画は滅多に読んだことがなく、たまたまテレビで観た「僕等がいた」の原作を途中まで、くらいなものだけど、色々と読んでみようかなと思わせるような作品でもあった。

戦術ナドロ【和良拓馬】(読切エッセイ)
 ラグビー、というのは殆ど無知に近いものだった。それこそ最近注目されている五郎丸選手の報道で7人制というものがあるという事を知ったくらいに。
 こうしたエッセイがあると、読みながら調べて知識が増えるというメリットがあってとても良い。
 熱さ溢れる文章は「好き」を伝えたいという想いが詰まっている。

夢のつづき【泉鳴巳】(読切)
 文章の暖かさ、ゆったり流れる時間の様な雰囲気の掌編。
 この作品自体が著者から読み手への問いに思えて、何度でも読み返したくなる。
 良い意味で気軽に読めて、自分と向き合える。そんな作品。

尾張名古屋共和国【よたか】(読切)
 設定の壮大さに圧倒。読切なのが惜しく、この壮大さを長編にして読んでみたくなった。
 大胆かつテンポよく進む物語としてとても良い。
 余談ですが、個人的にはタイトルを見た時「ローリング☆ガールズ」が頭に浮かびました。

パトリシア【浅野佑暉】(読切)
 自分の作品について、となると何を書けばいいのやらと思ったのですがきっかけなど記しておこうかと。
 元々「ヒューマノイドが発達した未来での人間との共存」というテーマでいくつか書いて賞に投稿などしていたのですが、それらのスピンオフ的位置づけ、単独で読める形に落とし込んだのが本作です。
 実は本来違う結末、といいますか全く別な物語となるはずだったのですが、想像以上に苦労して方向転換。
 結果的にこういう形となりました(「パトリシア」「博士」の登場は共通です)
 今後の予定としては勿論ありますので何とか形にしたいところです。
 (米田さんの感想で新海誠について触れられていましたが、秒速5センチメートルなどは観ましたが特別意識して書いたというわけではなかったので、そうした感想を頂けてとても嬉しく思いました)